ソウルで見つけた“書”の世界③|筆を使わないアート

ソウルで見つけた“書”の世界③|筆を使わないアート

「えっ、これ指で描いたの?」

国立現代美術館 ソウル館(MMCA Seoul)で、一番驚いた作品です。

ソウル研修2日目は、韓国を代表する現代美術館「国立現代美術館 ソウル館(MMCA Seoul)」へ行ってきました。

朝鮮王朝時代の役所跡地に建てられたこの美術館は、景福宮(キョンボックン)や北村韓屋村(プッチョンハノクマウル)からも徒歩圏内。

周辺にはおしゃれなカフェやギャラリーも多く、ソウル観光とあわせて訪れるのにもおすすめの美術館です。

思わず足を止めた作品『slow, same』

数ある作品の中でも、思わず足を止めたのが、Moon Beom(ムン・ボム)氏の作品《slow, same》。

遠くから見ると、霧が立ち込める山や岩肌、水墨画の風景のようにも見えます。

「墨で描いた作品なのかな?」

そう思いながら近づいて作品解説を読むと……

「筆を使わず、指で直接描いた作品」

と書かれていて、びっくり!

オイルスティックやアクリル絵の具を、指や手のひらで直接こすりつけながら制作したそうです。

書道にもある「指頭画」と同じ発想

書道にも「指頭画(しとうが)」という、筆を使わず指先や爪で描く伝統技法があります。

「まさに、それだ!」

と思わず心の中で叫んでしまいました。

しかも、指で描いたとは思えないほど自然で、作為を感じません。

霧が流れ、岩肌が浮かび上がるような表情は、まるで本物の自然を眺めているよう。

時間を忘れて見入ってしまう作品でした。

古い技法で、新しい表現を生み出す

今回、一番心を動かされたのは、

「古来の技法を用いて、現代的な作品を生み出す」

という発想でした。

書道も、昔から受け継がれてきた技法を大切にしながら、新しい表現へ発展させることができる。

そんな可能性を、この作品から教えてもらった気がします。

海外へ行くたびに、自分の中の「書」の世界が少しずつ広がっていく。

今回のソウル研修でも、作品づくりにつながる大きなヒントを持ち帰ることができました。

書道の基本を大切にしながら独自の世界観でアレンジし
立体感や季節感、楽しさを表現